条例はスワンゾウ 本当のスワンゾウ

10日総合展午後の後半は、
くらしに役立つ! 法令☆条例エッセンス
を見に行った。
ローライブラリアン研究会の主催。
席に余裕があって、助かった。たまたま前のフォーラムと同じ会場だったんだけど、そっちは相当密集して暑かったから、冷房強くしてそのままにしちゃったんじゃないか、むしろこっちでは寒かったり。


最初に指宿さんから開始と御礼のご挨拶。指宿さんも岩隈さんもいしかわさんも、お名前はよく見る方なので、おーこうゆう人かーっていう。


次に招待講演。『神奈川県受動喫煙防止条例について』。
神奈川県保健福祉部健康増進課たばこ対策室の方から。
パワポのスライドを配布資料にしてくれたらうれしかったんだけどなー、と思いながら内容をノートにメモりました。

 煙草は副流煙だけでも自分で吸うのと同じ影響があるため、このような条例を設けました。
 防止の取り組みについてですが、まず世界の動きとして2003年にたばこ規制に関する条約が調印され、それに合わせて同年日本で「健康増進法」が制定されます。ただしこの法律には罰則がありません。そして神奈川では2005年に、がんへの挑戦10カ年計画の一環としてこの条例の準備が始まりました。
 制定の背景としては、受動喫煙について調査したところどうも防止対策がなされていなそうだ、そして今後も自発的に対策が進むことはあまり見込めないだろう、ということで条例とすることになりました。実際の制定までに、意見募集、委員会等を経て平成21年2月に成立し、3月に公布となりました。


 条例の目的は、1.責務の明確化すること、2.防止環境を整備すること、3.未成年者を保護することで、これらによって受動喫煙の影響を防止していこうというものです。
 規制の対象は公共にある屋内施設で、千代田区のような路上喫煙の禁止ではありません。
 施設は大きく1種と2種に分かれ、1種は学校・病院やその他公共施設で、こちらは禁煙となります。2種は飲食店や宿泊施設、娯楽施設、その他の店舗等で、こちらは禁煙か分煙かを選択することができます。ただし喫煙所は全ての施設に設置可能です。また2種のうち、パチンコ店等の風営法に当たる施設や、規模の小さな飲食店については、「特例第2種施設」として規制は努力義務となっています。


 内容についてですが、まず個人に対しては、禁止区域での禁煙を求めます。それから施設管理者に対しては、禁止区域に煙が流れ込まないこと、そして喫煙所に未成年者を入れないことを求めています。そのため神奈川県で子どもさん連れでレストランに入るときは必ず禁煙席へ案内されます。
 分煙にする場合はまず仕切りが必要です。そしてその空間に窓などの開口部がない場合は換気設備が、開口部がある場合は風が禁止区域の方向に流れないようにすることが必要です。また、禁煙・分煙それぞれの表示を入り口に大きくつけることにしています。


 実効性を確保するために、この条例には罰則を定めました。2種に対しての罰則は平成23年4月1日から施行となります。もちろん、違反すればすぐに罰を受けるというわけではなく、指導や改善要請などの手続きを通過してからの処罰となります。


 県では相談会などを各所で開催し、条例のお知らせに努めています。
 施行は平成22年4月1日です。内容は三年ごとに見直しがされます。普通は五年ごとですが、たばこに関しては動向の変化が大きいことも予想されますので、三年という比較的短い期間にしてあります。
 最後に、防止キャンペーンとして白鳥とゾウを合わせた「スワンゾウ」をキャラクターとして、県内外への広報を行なっていますので、見かけたらよろしくお願いします。

スワンゾウ結構ウケてた。ずるい。(ちょ
産経の「ゆるキャラ図鑑」に掲載されてるしね。
来る前にみなとみらい駅構内のドトールでお昼食べてたら、やたら喫煙席が盛況だなぁと思ってたけど、そういうのがあったのね、という感じ。でもあそこ仕切りなかったような・・・ああ、小規模店か。


さてそんな感じで条例の実例を見たところで、
今度は岩隈さんから、そもそも条例ってなんじゃら? という話。

「条例の理解」
<「条例」って何だろう?>
 条例って、憲法の下の法律の下の命令(政令・省令)の下に位置するものなんだけど、日常的にはこれみんな「法律」って言っちゃうし、生活するうえでは別に問題ない。区別の基準はルールの作られ方(作る場所)にあります。
 条例とは、辞書的には、「地方公共団体の自主法」で、「地方議会が定める法」のこと。ここで国の機関が定める「法律」や、知事や市町村長が定める「規則」と区別されます。
 ただし広い意味では、その「規則」も含めて「条例」と呼んだりもします。でもわかりにくいので、この意味で使うときは「例規」と言い換えることもあります。今日使う「条例」は狭い意味のものです。
 条例で決めていいことと決めちゃいけないことがあり、地方自治法14条に定められています。国の法令に抵触したり、地理的に地方公共団体の範囲を超えるようなルールを定めることはできません。ただ、罰則は(ある範囲で)定められるという判例が出ています。


<条例を調べるには?>
 条例が効果を持つためには公布をされなくてはならなくて、具体的には自治体の広報と役所の掲示板への掲示が行なわれます。でも広報って公共図書館には所蔵されていると思いますけど、一般的には入手するのは難しいですよね。特に古いものとなると。掲示も次のものが来たら交換されてしまいますし。それに、広報だけ見ても一部改正だとわけわかんなかったりします。
 そこでまず頼りになるのが「例規集」。条例・規則の六法全書みたいなもの。自治体毎に作成するので、名称も「法規集」「例規集」などバラつきがあります。その自治体のものならば公共図書館の蔵書にはあるはず(でも実はなかったりします・・・)。
 で、例規集がないときはWebを使います。自治体がそれぞれで作っていますが(全部ではないにせよかなり充実)、ポータルとしては鹿児島大学「全国条例データベース」洋々亭の法務ページ「例規集リンク」というのがあります。(chik325注:リンクタイトル名は「Web例規集」みたい)
 でで、Webがないよ、という場合。は、もう、その自治体の広報課や議会事務局、公共図書館に問い合わせてみましょう。そこでなぜかかたくなにノーと言われちゃったときは、「情報公開請求」をちらつかせるとなんとかなったりもします。


<「条例」を見るときの注意>
 自治体の仕事の中には①自治事務と②法定受託事務というのがあって、それらの実現のために条例や規則が作られます。①に関する例規は読めばわかりますが、②は国の法令の委任を受けて作られているので、それだけ読んでもよくわからなかったりするので注意しましょう。


では実際の法令検索についてはいしかわ先生にバトンタッチ。

てなわけでリサーチの具体例に入るわけですが、それはすいませんまた明日。。。


P.S.
公共図書館には所蔵されているけど一般的には入手するのは難しい」っていう言い回しに他意はないと思うけど、ちょっと考えさせられる認識ではありますよね。ね。そんなもんよ。