法情報四次元ポッケの中身

村上広一「日本法情報データベース構築の課題」
(名城ロースクールレビュー No.11 2009年3月)
を読む。


法情報データベースには、どんなコンテンツが入っていたらいいか、
特に法令と判例について、理想としてという感じで、
細かいトコまできれいに検討していく、という内容。


目次はこんな。

1はじめに
2法情報データベースに収録する素材
3法情報データベースや法情報を提供しているウェブサイトの現状
4法情報データベース構築の課題
5さいごに

(日本の)法情報の全体像を詳しくおさらいできる感じでよかった。


気になったのは、まず「法令データ提供システム」についての記述。

やむをえない面があるとはいえ、更新に時間を要していることは難点の一つである。「正確な法令情報が無料かつ迅速に得られる」と評されることもあるが、実際には迅速とはいいがたいように思われる。
(74〜75ページ)

そ、そうだったのか。
確かに、データベースになってると冊子と比べてリアルタイムって感じがしちゃうから、未更新なのを見落とす可能性って結構あるかもしれないなー。
気をつけなきゃ。


それから、公的機関が提供するデータベースを評して、

問題は、すべて縦割りになっていて、官庁間の連携がとられていないことである。
(76ページ)

という一文に付けられた脚注61)がめちゃくちゃ長くて、「直接の関係があるわけではないが、」とことわっているわりに、その熱意はものすごい。笑


その最初にあげられた、

議案のデジタルデータをやりとりしないがために衆参両院が政府等から紙で受領した議案をあらためて業者に委託して手入力でデジタル化しているという例(朝日新聞2006年7月22日)
(同ページ)

は笑った。


というか、アホか。


とはいえやっぱり、従来紙でやってたことを電子化するときに大事なのって、そのとき使う機械とかももちろんだけど、それをどうやって実際回ってる現場に組み込んで運用していくかまでちゃんと全部トータルコーディネートすることだよなぁって思った。中途半端に機械だけ組み込んですぐ回し始めちゃうと、ほら、こういうことになっちゃうわけだし。


ところで、この論文が参照している文献は、
『法律時報』のものがかなり多いことに気付いた。
そういえばこないだのローレビューに関する記事も法時だったし、法情報学的なコトについてかなり力を入れてる雑誌なんだと気付く。