判例DBは春秋戦国?

コンピューターおじいちゃんに引き続き、
有斐閣判例とその読み方』(三訂版)の第3部「判例の探し方」を読んでいく。


「商用データベース」の項には、

 現在商用データベースとして主要なものは、(1)LLIDB判例秘書JP、(2)LEXDB、(3)レクシスネクシスジャパンDB、(4)ウエストロージャパンDB、(5)第一法規DBなどがある。
 (1)と(2)は、多くの法科大学院で利用されているので、教員、学生は主としてこれを利用している・・・
(267ページ)

とあるけど、(1)のLLIのデータベースは、
ロースクールでは「LLI統合型法律情報システム」という名前になってると思う。
『リーガル・リサーチ』(第三版、日本評論社)189ページではこっちの名前で取り上げられている。
でも、提供元のLICのサイトに出てくるのは「判例秘書」だけだった。
たぶん「秘書」が一般用で、「統合型〜」が法科大学院用なんだと思う。
紹介ページを見る限り、中身はほとんど変わりないから、名前を別にする意味がわかんなかったけど、最近になって「統合型〜」の方には法科大学院修了生向けサポートサービスのアイコンが表示されるようになった(唐突に。連絡くらいくれ)ので、対象の絞込みとかの理由で分離したサービスとして提供してるんじゃないかと思う。


(2)はTKCが提供している判例データベース。

(2)の特徴
判例収録は、(1)と同様であるが、TKCが、税務関係の会社であるため、税法関係の裁判例の収録が多い。
(268ページ)

これは知らなかった。使える判例DBがいくつかあるときいつも聞かれるのが、「結局、なにが違うんスか?」ということなので、それに答えるとき一役買ってくれそう。だいたい同じです、というのもアレなので。(真実ではあるが

第一法規判例体系をベースにしているので、判示事項等においては、信頼性が高い。
(同ページ)


とせっかく書いてくれているが、実はこの春から唐突にTKC第一法規が(データベース上)絶縁して、LEX/DB上の判示事項の掲載が中止された上、TKCローライブラリーという法律文献のポータルシステムから第一法規のデータベースへのアクセスができなくなった。
なんでそういう事態になったのか、TKCのヒトも第一法規のヒトもちゃんと教えてもくれないし・・・ウチはIDPWで管理してるから分離してくれたせいで労力が1.5倍だっつーの。使うほうも入り口が増えて迷惑きわまりないんだけど・・・。
くそっ。いつかウラを暴いてやるっ。


(3)のレクシスのやつは、Lexis企業法務とか自社出版雑誌の電子版が見れて地味に面白かったりするけど、判例はたぶんLLIから来てるんじゃないかと思う(そんなような表示がされることがある)。


(4)はWestlaw。

(4)の特徴
新日本法規のDBを基に作成されている。・・・コンテンツとしては、現代裁判法体系等新日本法規の出版した書籍に加え、東京大学法科大学院ローレビューを収録している。
(268ページ)


とあるけど、東大のローレビューはフリーアクセスなのであんまし関係ない。まぁ、検索とか判例リンクとかあるのかも知らんけど。
エストロージャパンは使ったことがないからよくわかんなかったけど、新日本法規と組んでたとはなぁ。こうして見ると、判例データベースってほんと、法律系出版社の群雄割拠って感じだよなぁ。LLIとかTKC有斐閣と組んでるし。


シェアは知らないけど、機能的にはそんなに飛び抜けたものってないし、戦国時代みたいな。そういうとき困るのってアレだよね。各メーカーで、仕様がだいぶ違ってきちゃうっていう。「使いやすい判例データベースの正しい形」っていう共通認識ができてない。まだ始まったばっかりだし、これから整っていくと思うけど、使うほうからすると、今は相当こまった状態だって言われてもしょうがないと思う。説明する方も、困る・・・