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こないだイチオシといった法律の入門書『やさしい法律情報の調べ方・引用の仕方』、5章は「法律学のレポート作成のための情報収集と活用の実践」ってことでいたれりつくせりなんだけど、ちょっと気になった箇所がある。
判例を検索するところで、

…具体的にニフティnifty)が管理している「法律・特許・技術情報データベース一覧」で検索してみると、…
(151ページ)

とある。一覧で検索…?と思って注に付されているアドレスを確認してみると、このページに飛ぶ。
うん、その名の通り一覧であって*1、この中で判例を検索できるのは「TKC法律情報データベース」だから、おそらく著者はTKC判例を検索したものと思われる。
サービス内容に「株式会社TKCが提供する…法律情報データベース。」って書いてあるんだけどなぁ。


もちろん入り口もアカウントもniftyだし、ユーザが「niftyを使っている」と考えていても不思議はないんだけども、この部分のもう一つの注に、

インターネットによる検索は基本的には有料である。大学の図書館等に設置された端末から利用すれば、費用を支払う必要がないと思われるので、多いに[原文ママ]活用したいものである。
(151ページ、脚注18)

と書かれたのを見て、ちょっとうなってしまった。
この記述で有料と言っているのが、サービスプロバイダの接続料金についてなのか、データベースの利用料金についてなのか、明らかでないのだが、文脈からすると後者のようにも見え、違和感を覚える(あるいはその二つを判別できていないのかもしれないけども)。
入門書で紹介する記述としては、ちょっと適当すぎやしないかい、などと。


と、いうか、こういったことについて、原稿を出す前に相談する相手はいなかったんだろうか。この章では大学のリポジトリも紹介されているのだが、書く上で図書館の人なんかとなにかしらやりとりしなかったのかなぁ。
あってもおかしくないんだけどなぁ。


以前読んだ、
杉田 千里. “フランス高等教育機関の図書館事情 3)図書館とラーニング・センター”. 情報管理. Vol. 52, No. 12, (2010), 736-739 .
に、

…高等教育機関の図書館となると事情は一変する。一般に,教職員と図書館の関係は一方通行で,教職員から図書館へ授業に関係する図書購入希望は行われているが,図書館から教職員に具体的な授業内容や学生が必要としているものを問うということは,ほとんど行われておらず,ライブラリアンは,図書館の中だけでサービスを行うという従来の枠にとらわれているように感じる。
(738ページ)

という記述があった。
これはフランスの例だけど、ま、そんな感じだよなぁ、と思ってしまうのでした。

*1:ちなみに、画面右下に「Powered by G-Search」とあるので、このコンテンツを誰が「管理」しているのかも微妙な気もする