how to cite this site

自分が法律をちゃんと勉強したことないのもあって、入門書にはよく目を通すんだけども、最近のイチオシは、『やさしい法律情報の調べ方・引用の仕方』小林成光ほか著(文眞堂、2010年)。

やさしい法律情報の調べ方・引用の仕方

やさしい法律情報の調べ方・引用の仕方

この本には、法学部とかで時間をかけて自然と覚えていくのであろう法律文献の種類とか雑誌の評価や性格とかがちゃんと説明してあってすごくありがたい。たとえば『法曹時報』については、

「法曹時報」は法曹会が毎月発行する、立法、司法に関する論文、解説、事件の概況などが掲載される法律雑誌である。対象は、研究者や実務家である。「法曹時報」では毎号「最高裁判所判例解説」を連載している。この解説は最高裁判所の調査官が執筆していることもあり、特に重要視されている。それらは、年度毎にまとめられて「民事編」と「刑事編」に分けて刊行される。なお、内容が若干加筆・修正されることがある。
(40ページ)

という風に詳しく記述され、さらに発行元についての説明へと進んでいく。
判例解説が冊子になるとき加筆修正があるのは知らなかった。


それでこの本、調べ方のみならず「レポート作成の仕方」まで説明してくれる親切設計なのだけれど、そこでもちろん引用方法についても記載がある。

引用の表記の仕方は、学術論文集や機関誌によって若干異なる場合があるが、法律編集者懇話会の「法律文献等の出典の表示方法」(2005年版)が、現在、最も標準的な法律文献の引用方法について書かれたものであり、多くの学術論文集や機関誌では、これを標準にしているものが多い。
(63ページ)

この文章に引き続き、細かい文献の種類ごと(講座・記念論文集・コンメンタールなど)に引用の表記が掲載されている。参照するのに便利だと思う。


ただし、Webからの引用については一切記載がない。懇話会でどんな話だったのかわかんないけど…
最近は裁判所サイトにしか掲載がない判例とかもあるので、どんな風に書くべきかなにか示してほしかったなぁ。
(ついでに書くと、データベースの説明のところでCiniiやNDL、Webcat-plusも紹介してくれているんだけど、いかんせん最近立て続けにリニューアルしたもので、みんな古い画面の挿絵になってしまっている。こればっかりは出版のタイミングだからしょうがないけども)


それから、

法律学の分野で用いられる引用方法は、日本の場合、前回の話からも明らかなように、統一されていない(米国では、基本的には統一されている)。有名な引用方法のマニュアルとして、法律編集者懇話会「法律文献等の出典の表示方法」(神戸大学法学部HPなどに掲載されている)があるが、そこに記された引用方法自体、統一されていないのだ。
いとう Diary 〜 academic and private「引用方法の話(2)」

という話もある。
引用方法には学術分野によってそれぞれ文化があってかなり違ってくるものだけど、法律(法学)は内部的にもいろいろあるっていうのも、またやっかいですね。