games for what
後藤敏行「コンピュータゲームアーカイブの現状と課題」
(『情報の科学と技術』Vo.60,No.2)
を読む。
ゲームは好きだし、紙以外のメディアの保存にはもともと興味もあったので、こういう論文が出てくれてうれしかった。
マガジンハウスの『BRUTUS』がプレステ特集でスタンフォードのビデオゲームコレクションを取り上げたのが2009年10月。それに遅れること4ヶ月というのは、学術誌であることを考えれば仕方ないところでしょうか(論文の執筆は同じ2009年10月とあるし)。
スタンフォードについては海外の事例のひとつとして紹介していて、
コレクションはスタンフォード大学図書館の特殊コレクション部門が管理しており、ゲームソフトをゲーム機ごとに整理し、製造元や販売者、プログラムの性質、製造日、製造番号等の情報を可能な限り記録している。
(70ページ)
とある。BRUTUSの記事は「大学がゲームに学術的価値を見出し、コレクションにする理由」についてキュレーターにインタビューするという内容だったので、実際にどうやって管理されているのかはわからなかった(写真があるから雰囲気はちょっとばかしわかるけど)から、この記述で具体的なやり方が多少イメージできたかな、と。(まぁ「プログラムの性質」とかはよくわかんないけど)
それから気になったのが英国の事例。
英国では、国内初のコンピュータゲームの公的アーカイブとして、英国国立ビデオゲームアーカイブ(National Videogame Archive)が2008年に設立された。ノッティンガム・トレント大学と英国国立メディア博物館(National Media Museum)の共同事業である。アーカイブは英国国立メディア博物館に置かれている。
(71ページ)
この、英国国立メディア博物館(National Media Museum)というものは全く知らなかった。
で、国立メディア博物館と聞いて思い浮かべたのは当然、
かの「国立メディア芸術総合センター(仮称)」でしょ?
それでさー。
ぼくのなかに怒りがもうふつふつと込み上げてきたわけ。
なんでなんでなんで。
なんであれだけの議論になっていたにもかかわらず、
こんなわかりやすい先行事例をオレは知らないんだ。
伝わってこないんだ。
おかしいだろうと。
悲しくなる。
ちなみに、英国国立メディア博物館では現在ポニョが上映されている。
英語版の予告編も見られるから、興味持ってやってね。
昨日みんなナウシカ見たんだろ?(何
さて、国立ビデオゲームアーカイブの現状については、
イギリスにおける国立ゲーム博物館設立の動き
(ゲームレガシー)
に記述がある。
まだまだ始まったばかりという感じだけど。
楽しみですね。
さらに話を戻すと、論文を読んで思ったのは、ゲームでも別に、
- 文化的価値がある
- メディアの短命さと技術の陳腐化が問題
という点でいわゆる普通のデジタルメディアと変わるものじゃないよね、
ってこと。
それにもかかわらず自ずと感じられるこのワクワク感は一体なんなんだい?
ってこと。
ぼくがゲームアーカイブを支持するのはこのワクワクを信じているからだよ。