paper is the heaviest
岩波書店の『思想』2009年6月号の後ろ半分が、Googleブックの特集みたいになっていて、ゆっくり読んでいた。
「著者の権利」というものの歴史とか、<書物>の解体についてとか、写本の時代とか、出てくる人もペトラルカだのチョーサーだのベンヤミン、フーコー、ブルデューって重! 重厚すぎるよ! みたいなね。
んで、最後の論文、ロバート・ダーントン「グーグルと書物の未来」の冒頭に編集部の注が添えてある。
本稿掲載の準備中、原論文のフランス語訳からの翻訳が『ル・モンド・ディプロマティーク日本語版・電子版』二〇〇九年三月号に掲載された。インターネット上ですでに公開された論文とほぼ同じ内容のものを、紙媒体で後追いして掲載することについては、編集部でも議論があった。しかし、物質としての永続性をもつ紙媒体での提供を選択し続けている本誌がもちうる役割と機能に鑑みたとき、本稿を掲載することには一定の意義があると判断し、ここに掲出するに至ったことをお断りしたい。
(173ページ、太字は引用者)
く、くはぁ。ものすげえなこれ。別に、否定してるわけじゃなく、言ってることはわかるけど。
ちなみに、『ル・モンド・ディプロマティーク日本語版・電子版』はこちら。ちゃんと読める。
できればその、「もちうる役割と機能」について詳しく聞きたいトコだけど。
しかし、グーグルへの対抗とはその「重さ」なのではないか。0.084秒で検索結果が出てくるのではなく、考えても考えてもわからないということをさらに考えるという。レスポンスの遅さ(「重い」)による熟成。
なんてふと思う。
ある場合には、そういうものだって必要になるような気もする。
まぁでも、多くの場合はグーグル使ったほうが便利だろうけどね。