Googleブック感情論 - アンタこの子と付き合ってあげなさいよっ

こないだ、
「版権レジストリは、いわば世界規模のJASRAC」--Googleブック検索問題の本質
YOMIURI ONLINE
を読んだ。
すごくわかりやすい解説記事だった。


そしたらasahi.comでも同じ時期に解説が出てるのに気付く。
日付は5月10日。読売は5月12日なので、早さではこちらが先みたい。


いずれにせよ、ややこしいというか、なんか混沌としてるのは、
金銭面の問題と感情面の問題がごちゃごちゃになっているからなのかなぁ。
特に感情面の問題の方は、結構めんどくさくなるんじゃないかと思う。
それは利益じゃなくて価値で対立してるからだ。


法哲学者の井上達夫によれば、利益対立は充足要求であり、自身が充足すれば他者の充足を否定することはなく、パイの拡大によって解決することができるが、価値対立は妥当要求を持つゆえに排他性をもち、パイの拡大による解決は見込めないという。(『他者への自由 ―公共性の哲学としてのリベラリズム―』6-11ページ 創文社 1999年)
このケースのめんどくささって、それに当たるんじゃないかなぁ。


まぁ、アメリカの大学図書館に所蔵されてる世界中の著作について、その著者の国々とか文化に合わせて使用方法についての相談の仕方をそれぞれコーディネートしてから事業をはじめるというのは、あまりにコストがかかりすぎるし、理想かも知れないけど机上の空論とも言えるので、「問題が起こったときにその都度対応する」というプラグマティックな方法をGoogleが取ったのは、企業の目的からしてもしょうがないことだと思う。


それはそれで理解するので、とりあえず「問題だ」と感じる人に対しては、そういうやり方をした以上は責任取って最後まで付き合っていってほしいかな。「訴訟の結果がすべて」というのは、少なくとも日本的な感覚からすれば、それは逃げでしかないような気がする。ちゃんと付き合っていって、その付き合いの中からお互い納得できる道を見つけていくのが良いでしょ(それが机上の空論だったらどうしようとは思うケドね☆)。