realistic readings

このあいだ、『国語辞典はこうして作る』という本があることを知った。

国語辞典はこうして作る 理想の辞書をめざして

国語辞典はこうして作る 理想の辞書をめざして

で、どちらかというとかなり趣味的に、へーおもしろそうって思ってたら(まだ読んでない)、
情報管理」の8月号に、
飯田 建. “子どもたちの知のデータベース『総合百科事典ポプラディア』をつくる”. 情報管理. Vol. 54, No. 5, (2011), 243-253 .
というのが出ていた。
百科事典の作り方というのもあまり聞かないし、おもしろかった。


制作の過程のところで気になったのは、ポプラディアをテーマ別に作るか五十音順にするか迷ったというところ。結局は五十音順になるのだが、その理由のひとつに図書館での扱われ方が挙げられている。

(…)調べ学習などで求められているのは,特定のキーワードに素早くたどり着くことであろう(…)「このキーワードはどの巻で調べればいいだろう?」などということを考えさせるようでは使ってもらえないのではないか(…)また,図書館の考え方によるが,テーマ別にすると,それぞれのテーマごとの書架に分けて配架される可能性がある。この場合,さらにキーワードにたどり着くことが困難になる。
(245-246ページ)

ありがちなことだけど、確かに、ばらしてしまうと単なる1冊ごとの本になってしまって、調べる「取っかかり」にはなりにくいよなぁと。

使われ方に関しては、

図書館の利用指導の中で,知りたい情報にいかにたどり着くかは,大変重要な基礎的スキルであるが,残念ながら十分指導が行き届いているとは言えない。図書館の中で「調べましょう」と言われて,どの本をどう見てよいかわからず,書架の前をうろうろするだけで1時間が終わってしまったというのは珍しいことではない。分類を理解し,配架のルールを学び,書名・著者名・件名といった目録の検索,目次や索引,奥付の理解などの基本的スキルは,繰り返し行わないと身につかないものである。『ポプラディア』は,一番便利で役立つ資料であるとともに,こうした学習を行っていくうえの第一歩として活用されている。
(247ページ)

という記述がある。百科事典の利用に慣れて、「百科事典をさらに大きく広げたものが図書館」のようなイメージを持てれば、図書館を使う面でもスムーズかもしれない。まぁさっきあったように情報の並べ方は違っちゃったわけだけど。

それから、

児童文学評論家の赤木かん子氏は講演の中で,子どもたちの読書傾向を「空想系」と「リアル系」に分けて考えている,と語る。「空想系」の子どもは,「ものがたり」が好き。「ものがたり」の中で想像をめぐらし楽しむことができる。「リアル系」の子どもは「ものがたり」を読むのが好きではない。ただし「本当のことが書かれている本」を読むのは好きなのだという。
世の中で「本嫌い」と思われている子どものうち,かなり多くがこの「リアル系」ではないだろうか。読書指導を通じて「ものがたり」の本としか出会っていないがゆえに,「本が嫌い」と思われている子どもが少なからず存在するのである。
(248ページ)

というのもなるほどなーと思った。物語って好みが出やすいし、そんなにカッコよくはないし、リアリスティックになりがちなマセガキどもにはきつそうな気がするよね。笑