books about wakan

年末唐突に和漢古書のお仕事が舞い込んできたのだが、はっきりいって何も知らなかったため、とりあえず参考になりそうな本を10冊くらい読んでみた。
半分くらいは実家に持ち帰って読んだので、荷物が多くなって、初売りに行ってもあまりものが買えなかった…
というのは置いておいて、ソーシャルライブラリーにつけていたメモをせっかくなのでひと通りまとめておこうと思う。

日本古典書誌学総説

日本古典書誌学総説

たまたま見つけたわりにすげえいい本だったかも。

図書館で偶然発見。定評のある本らしいことがあとあとわかる。
ファーストチョイスとしてはまずまずだった。

漢籍版本のてびき

漢籍版本のてびき

和本と形は似てても用語とか結構ちがうなぁ…

和本と漢籍で用語が違うことも知らなくて、
「どっちを信じたらいいんだ…」とか普通に思ってた。
そういうものらしいということがだんだんわかってくる。

古文書解読事典―文書館へ行こう くずし字の特徴とくずし方の事例で検索

古文書解読事典―文書館へ行こう くずし字の特徴とくずし方の事例で検索

書き入れが読めず、貸出可だったので借りてきた。
文書館についての解説とかもあり。

漢籍はおもしろい (京大人文研漢籍セミナー)

漢籍はおもしろい (京大人文研漢籍セミナー)

ざっと読み。

講演記録なので、技術的なことはあまり書いてない。
でも、精神的な面というか、どんな人がこういうの好きなのかが少し見えた。
「この軽さがたまらない」とか。

続和本入門―江戸の本屋と本づくり

続和本入門―江戸の本屋と本づくり

ざっと読み。写本について詳しい。

出版の新しい方がいいかと思って続を借りたら、内容も違ってたという。
写本もあるからよかったんだけど。

日本書誌学を学ぶ人のために

日本書誌学を学ぶ人のために

用語など、さくっとまとめてあって便利。図や写真も多い。

和本のことは「書誌学」で知ることができるとわかって読む。
「図書館を利用するときは決して泣き落とし戦術などを使ってはならない」
なんていう一喝が笑える。

古書のはなし: 書誌学入門

古書のはなし: 書誌学入門

ざっと読み。類書でいつも参考にされている本。中国のものも含め、用語の使い分け、印刷の歴史が詳しい。ただし図はほとんどない。最後は戦中戦後の思い出話。

和書と漢籍で用語が違うことを確認できた。
大御所が晩年に好きなようにまとめたという感じで楽しい。

書誌学のすすめ―中国の愛書文化に学ぶ (東方選書)

書誌学のすすめ―中国の愛書文化に学ぶ (東方選書)

ざっと読み。ほぼ、中国の古書の話。技術的なことよりも、書物が作られ散逸し再会するというドラマにスポットをあてる。蔵書印について詳しい。

同じような入門書でもそれぞれ特徴はいろいろだなぁと思いはじめる。

書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む

書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む

教科書的一冊。用語・歴史・取り扱い方法などバランスよくまとまり、ルビも多く記述も丁寧で非常に読みやすい。論文の書き方や資料探索の方法まで掲載し、かつての蔵書家の書物が現在どこに所蔵されているかなども詳しい。参考図書やデータベースの紹介も有益。図書館で借りましたが買ってもいい本。

書誌学のことをツイッターでつぶやいていたら出版社の方がリプライをくれて読んだ。
コメントが長いのはサービスもあるけど、内容が良かったのは事実です。

和本入門 千年生きる書物の世界

和本入門 千年生きる書物の世界

古書店からの視点。具体例が多くてわかりやすい。古書市場の様子についても。

先に「続」を読んだものの最初の本。
こっちは刊本が中心で、基礎知識がまとまっている。


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というわけで、それぞれ参考にはなったんだけど、
いま最初に1冊だけ買うとしたら間違いなく『書誌学入門 古典籍を見る・知る・読む』でしょうね。
正タイトルをどこから取るか、などいくつかの議論についての記述も中立的で信用できるし。
なにより、新しい。