Law Review (3) リスペクト

山田卓生「百年を迎えたハーバード・ロー・レビュー」(法学セミナーNo.390 p.10-13 1987/6)を読む。
 
親愛なる山田先生による20年前の記事。
余談だけど,法学系の論文をパラパラ読むようになって最初に気づいたのが,先人に対するリスペクトがものすごく強いことで,論文中でも「〜〜先生」と呼ぶし,慇懃な敬語を使って引用したりする。理工系図書館でキャリアを始めた身としてはかなりカルチャーショックだった。学生さんから本を頼まれるときも,直接教わってなくても「〜〜先生の民法」とかって表現して,呼び捨てにしたりはしない。
はじめは違和感があったけど,だんだん慣れてきて,それは確かに学問的な権威主義につながる面もあるかもしれないけど,礼儀にかなっていることは必ずしも悪いことばかりじゃないかもって考えるようになった。
目上の先生を呼び捨てにする,というのは結構精神的な面で,論文を書く際に変な負担になったりするかもしれないし。
まぁその辺はバランスが大事かもしれない。
 
山田先生の記事は,ハーバードがメインだけどそれ以外にも一般的なローレビューの特色とかも書かれている。
 
最後の段落の,古典と呼ばれる名論文への考え方が印象的だった。
 


法律のごとく,改変のはげしい分野において,古い論文を読んでも仕方がないのではないかとも考えられる。・・・しかし,古典的な名論文を読んでみれば,この考え方が間違っていることはすぐわかる。・・・名論文から得られるのは,・・・考え方,視点,示唆といったものである。一つの論文を読むことによって,物の見方が以前とは同じではなくなっている。しかも,読むたびに新しいものを発見できるといってよい。
(p.13)
 
こういう体験をするのはとてもエキサイティングなことだと思うし,
そのために何ができるのかって考えなきゃ。