who is he(2009/3/20転載)

最高裁判所判例集について、いしかわまりこほか『リーガル・リサーチ』第三版に、

過去に同種の法的判断をした判例であっても、担当した法廷が異なる場合は掲載され、また新しく任命された裁判官が初めて少数意見を述べた判例は掲載されることになっています。

(163ページ)


とある。前に引用した『判例とその読み方』の記述とほとんど同じなので、

おそらく参考にしたものと思われる。(微妙にちがうけど。)

あるいはなにか共通のソースがあるのかもしれないが、それならそれで、

どちらかには記載があるはずだし(あってほしい)。

ところで『リーガル・リサーチ』には「参考文献の書き方」が説明されているのに、

見落としかもしれないけど、自らの参考文献リストはなかったような気がする。なぜ?



さて、最高裁の裁判集について『リーガル・リサーチ』では、

最高裁判所判例集』に掲載されなかった裁判でも、後日参考になると思われる判決・決定を・・・掲載しています。・・・事実が掲載されている第1審、第2審の判決の掲載はなく、・・・事項索引がありません。最高裁判所の部内資料として刊行されているため市販されていません・・・配布は、地方裁判所以上の裁判所資料室や一部の大学に限られています。

(164〜165ページ)


とある。これでおおむねわかるが、『判例集』に登載されたものの扱いについては記載がない(登載されているならそちらを見ればいいんだけど)。

これについては斎藤寿郎「判例の読み方(1)判例集の系譜、種類、内容」(判例タイムズNo.381)には、

・・・最高裁判所民事判例集に登載されたもの全部のほか、これに登載されていないものも多く含まれている。

(35ページ、ただし「最高裁判所民事裁判集」の項)


ということで「全部」とあるが、この論文の発表が1979年と幾分古い。

2002年改訂の『判例とその読み方』では、

・・・判例集に登載された裁判を含めて、後日の参考となると思われるもの、特に多少なりとも先例としての意味があると思われるものはすべて収録される建前になっている。

(107ページ)


となっていて、判例集に登載されれば全部、とは言っていない。

なので、「以前は全部だったけど、いまはだいたいすべて」という感じでいいのだろう。



ちなみにここまでの文献ではすべて「1審2審の掲載はない」とされているけれど、

西野喜一『法律文献学入門』(成文堂、2002年)をみると、

「例外的に、原判決の抄録を載せているときもある(68ページ)」らしいので、

どうしても必要ならダメもとで当たってみた方がいいのかもしれない。

まぁそれなら裁判所に大元の判決書を見に行った方が早いかもしれないけど。

遠方でなければ。



裁判集は市販ものではないので所蔵が限られている。

「裁判所で見せてもらうほかはない」(西野・前掲書)と言われているが、

図書館にもある。

国立国会図書館と、大学では東大・京大・東北大が、依然継続して受け入れている。

ただし若干のタイムラグがあるようで、やはり一番早いのは最高裁判所図書館。

けっきょく裁判所に行くことになりそう。



というわけで次の疑問。

・裁判集にも登載のない判決はどうしたら見られるのか。裁判所は見せてくれるのか。

・裁判所資料室というのは誰でも使えるのか。

はてさて。



・・・などと調べていたら、こんなページを見つけた。

「日本の判例集に関する文献(Noboru Kado)」

http://www.law.osaka-u.ac.jp/~kado/legbib/lrepjbib.htm

はわわ、読まねば。

「ロー・ライブラリアン関係文献」も、更新されている。